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長野のテロワールを現地で感じて、脳で飲むワインがサイコーなのです!|TRAVEL

TRAVEL|軽井沢マリオットホテル

軽井沢マリオットホテルが誘うメーカーズディナー シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー編

信州ワインバレーの玄関口、軽井沢マリオットホテルは、周辺の特徴のあるワイナリーと協業して魅力的なイベントを開催しています。今回、紹介するのは、昨秋に行われたメーカーズディナー。シャトー・メルシャン 椀子(まりこ)ワイナリーとコラボレートして、ワイナリー訪問とシャトー・メルシャンを味わい尽くすスペシャルディナーを楽しむ趣向です。このような会が、軽井沢マリオットホテルでは本年も企画されています。まずはこの記事で疑似体験していただき、次は皆さんが現地で確かめてください! 最高のワイン体験が待っています。
Photographs byOHTAKI Kaku|Text by TSUCHIDA Takashi

吹き抜ける風が心地良い。もはやワタクシは葡萄になりたい!

ワインラヴァーの皆さん、おいしいワイン飲んでますか? でも、おいしいワインがおいしいのは当たり前。とっておきのワイン体験は、とっておきの場所で、とっておきの仲間と飲むから至福なんです。“おいしさ”をいかに増幅させていくかが、何と言っても大切ですからね。なんせ私自身もワインラヴァー。皆さんと同じく、人生すべてをかけてます。
その誇りをもって、ここに断言いたします。現地に自分自身が赴き、テロワールを感じながら仲間と味わうことが最高にワインを楽しむ方法だと思っています。
そんなワインラヴァーの心をがっちりと掴むイベントを手掛けているのが、軽井沢マリオットホテル。信州ワインバレーに好アクセスな立地を生かして、ワイナリーとのコラボレートイベントを組むようになりました。私が昨秋参加したイベントは、その第2回目。この日は、シャトー・メルシャン 椀子ワイナリーとコラボレートしたメーカーズディナーのイベントでした。
ここで、ちょっとご説明。“メーカーズディナー”とは、ワインメーカー(醸造責任者やオーナー)とともに、そのワイナリーのボトルを楽しむことです。現地で、造り手の話を聞きながらワインを味わうという、なんとも高貴な趣向なのですが、それをマリオットというラグジュアリーブランドのレストランで開催するというのがキモ! ホテルシェフが、その日に提供するワインに合わせて、スペシャルコースを設計するからです。
今宵はワインが主役で、料理は従者。ワインの味わいを引き立てるべく、コースが構築されていきます。しかも、抜群のホテルクオリティで !! その日の銘柄をシェフとソムリエが徹底的にこだわってペアリングさせる気迫が違います。この凄み、ワインラヴァーにはキュンキュンくるわけです。

さてさて、プログラムはワイナリー訪問からスタートします。現地へのアクセスは、もちろんホテル手配の専用バスで。ホテルロビーに一旦集合した参加者は、全員バスに乗り込みます。なんせアルコールをいただきますからね。こうでないと飲めません。

2019年に新設されたシャトー・メルシャン 椀子ワイナリーは、小高い丘に立ち、360℃ブドウ畑を見渡せるワイナリーです。面積30ヘクタール、東京ドーム6個分という土地に、ブドウの植木が7万本植わっているそうです。収穫できるブドウ果実はおよそ100トン。ワインボトルで換算すると年間10万本の規模です。

さすが、我が国最古のワイン会社がもたらす最新ワイナリー。スケール感でも他を圧倒していますが、なにより、現地の気持ち良さは行ってはじめて体感するもの。吹き抜ける風、降り注ぐ太陽を浴び、自身が葡萄になったかのように想像を膨らませます。

さあ、試飲。これがたまりません。誰もが口数少なくなるのは、たったいま目の当たりにしている感動をどう捉えるべきか、頭のなかでフル回転しているからでした。文字として何度も目にしてきた「テロワール」という単語は、実際にその場に身を置くと、あらゆる気づき、驚き、感動を巻き起こし、ワインと一体となって、怒涛のごとく身体中を駆け巡ります。

試飲でほくほくになり、ホテルに戻って、次はなんとアート体験。シャトー・メルシャンの味わいを塗り絵で表現するという美術アクティビティに挑戦しました。これ、学生をもう四半世紀前に卒業したワタクシにとってはキツいと思いつつ、やってみると案外ハマります。恥ずかしいと思ったのは、最初の5分だけ。水性ペンをグラスの水で滲ませたりして、勝手にアレンジをはじめたのは、このワタクシです。

そして、いよいよ今宵のメインイベントがスタートしました。

Dinner Menu

アミューズ 長野県産シイタケとエスカルゴのオーブン焼き

前菜 信州サーモンのミキュイ 秋茄子のプレッセ 長野県産鱒のいくら添え

スープ 坊っちゃんカボチャのポタージュ

魚料理 長野県産大イワナと彩り野菜のガトー仕立て ワイナリーで採れたぶどう入りブールブランソース

肉料理 長野県産プレノワールのデクリネゾンさまざまな味わいで

肉料理 信州プレミアムロースのグリル 松茸のグリルと松茸入り春愁竹のデュクセルと共に

フロマージュ 長野県産チーズ ワイナリーで採れたぶどうのセッタと共に

デザート 長野県産サツマイモのクレームブリュレ バニラアイス添え ワイナリーで採れたぶどう入りのベリーソース

Wine List

椀子のあわ シャルドネ&ソーヴィニヨン・ブラン

椀子ピノ・ノワール2021(ワイナリー限定)

椀子 ロゼ2021

北信左岸シャルドネ リヴァリス 2019

北信右岸シャルドネ リヴァリス2020

椀子シラー 2020

椀子 オムニス 2017

はじまりは、「椀子のあわ」。こちら、シャルドネとソーヴィニヨン・ブラン、2種類の白ブドウをブレンドしたスパークリングです。ガス充填式でありながら、泡を長く保持する成分に着目し、瓶内二次発酵さながらのガスボリュームとしています。

そして先制パンチを食らったのが、アミューズに合わせたピノ・ノワール。そう、スパークリングの次に、いきなり赤ワインとは、定石通りではありません。こちら、椀子ワイナリーで2021年に250本のみ造ることができた超貴重なピノ。

シイタケのフレーバーにピノとは、間違いありません。ピノ・ノワールが熟成してくると、キノコのような香りがしてくるからです。食事とワインで香りの共通項を見つけるのは、ペアリングの王道スタイル。そのセオリーを押さえたうえで、あえて赤ワインをペアリングの前半線に持ってくるあたりが素敵です。

日本のテロワールにおいてピノ・ノワールの生育は難しいそうです。ピノ・ノワールは果皮が圧倒的に薄く、秋雨に打たれると果皮が潰れ、そこから菌汚染されてしまうからです。そんななか、僅かに育ったピノ・ノワールは、フランスと比べるのではなく、日本のピノとして誇りたい! 胸を張ってシイタケと合わせたいと、きっとその場にいた誰もが思ったことでしょう。

「アミューズ 長野県産シイタケとエスカルゴのオーブン焼き」。エスカルゴバターはパセリ、にんにく、バターをまぜた濃厚なもの。だからワインと素晴らしく合うのです。ペアリングは「椀子ピノ・ノワール2021」。

「前菜 信州サーモンのミキュイ 秋茄子のプレッセ 長野県産鱒のいくら添え」。白く見えるのはクリームチーズ。食感の変化で、なかにクルミが混ざっています。「椀子 ロゼ2021」の淡いサクラ色とのバランスがきれいでした。

「スープ 坊っちゃんカボチャのポタージュ」。カボチャの甘みに加え、風味付けにシナモンを使用しています。ペアリングは「北信左岸シャルドネ リヴァリス 2019」。左岸は標高330メートルと周囲よりも低く、暖かいそう。したがって果実味豊かな味わいとなっていました。

「魚料理 長野県産大イワナと彩り野菜のガトー仕立て ワイナリーで採れたぶどう入りブールブランソース」。ペアリングは「北信右岸シャルドネ リヴァリス2020」。右岸の標高は450〜600メートル。気温が低く冷涼なスタイルを持ち、シャルドネが持つ火打石の香り、口に入れた時のミネラル感に特徴があります。ホタテのムースと、このミネラル感が非常にマッチしていました。

「肉料理 長野県産プレノワールのデクリネゾンさまざまな味わいで」。さまざまな部位をさまざまな料理法で提供するという趣向。「椀子シラー 2020」の胡椒フレーバーが、グリル肉への最後のスパイス!

「肉料理 信州プレミアムロースのグリル 松茸のグリルと松茸入り春愁竹のデュクセルと共に」。ペアリングは、「椀子 オムニス 2017」。

最後にペアリングで登場した赤ワインとは、田村さんが椀子ワイナリーに赴任して最初に造った赤ワインだそうです。2017年は夏が涼しく、9月から10月にかけてはが逆に日中暖かく、さらに夜は温度が急激に冷えるという状況で、そんな環境がブドウの成長にとっては良かったとか。タンニンの質も細やかで、とてもエレガント! ブドウがあまりにも状態が良かったので、「6年経ってまだ少し若いかも」と、田村ワイナリー長はさらなる熟成の余地を指摘します。

「椀子 オムニス 2017」。カベルネ・フラン40%、メルロー36%、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルドをアッサンブラージュ。これが日本ワインなのかっ! と唸る、熟度の高さです。

というわけで、一皿ずつのペアリングから、ワインの素晴らしさを確かめた一夜だったわけですが、改めてこのメーカーズディナーに参加して思ったのは、いま日本ワインは激動の時代を迎えているということ。フランスをはじめとするヨーロッパの生産地と異なり、日本ではまさにワインに対する知見が急速に書き換えられていっています。

なぜ、今? って思いますよね。それは、フランスの真似をやめて、日本の気候風土に合ったスタイルを模索しようと、大きく舵を切ったから。生産者だけではありません。現に、軽井沢マリオットホテルのように、日本のワインツーリズムにラグジュアリーホテルが力を入れ始めたこともそうです。ソムリエの的場さんは、こう話します。

軽井沢マリオットホテル JSAソムリエ・エクセレンス的場隆史さん

「自分がソムリエの勉強をはじめた時に、ボルドーに流れる川の右岸、左岸の違いを勉強しましたが、千曲川流域にも右岸、左岸の違いがあるのです。そうしたリアルを紹介することに、やりがいを感じています」

シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー長 田村隆幸さん

一方で、椀子ワイナリー長の田村さんは、シラーに合わせる肉料理の味付けに胡椒を効かせてもらうことを今回のディナーでリクエストしたといいます。「日本ワインならではの味わいを目指すなかで、雨の多い場所だからこその強みがあります。そのひとつがシラー。土の中の水分が多いと、シラーは胡椒の香りが際立ちます。その特徴に合わせた味付けを、ペアリングでお願いしました」と、田村さん。

現在進行形で分かってきたこと、掴んだ特徴の話を聞けることは至極の喜びです。こんな話を聞くことにワインラヴァーはときめくのです。しかもですねー、母国語で話してもらえることがとても大事。これ、大切なことなので、もう一度念押しますが、日本語で聞くワインのストーリーは、想像力をグイグイと膨らませてくれます。英語、フランス語ネイティブの人は別として、海外ツアーではこうはいきません。

軽井沢マリオットホテル レストランシェフ 梅津充博さん

そして今回、梅津シェフの日本ワインへの理解の深さに私自身、感動しました。梅津シェフは本場フランスでの修行を終えて帰国、その料理は本場譲りでありながら、濃すぎずソフトで、日本人が好む繊細さがあるのです。それがまた日本ワインと合う。「日本ワインはフランスワインに負けないほど、美味しいと思っています。ただし似て非なるもの。その違いを、料理の味わいでサポートしていきたい」と、梅津シェフは話します。

プロが目指す、日本独自のワインの方向性がいかなるものか。そのひとつの回答が、このメーカーズディナーに凝縮されていました。ああ、これだからやめられません。ストーリーのある”おいしさ”は、もはや無敵です。

だって、脳がおいしさを咀嚼するのに、あらゆる情報を持つからです。言語化された旨味が、何度も脳内にリフレインされます。これで、ワインラヴァーが満足しないわけがないじゃないですかっ!!

NAGANO WINE Discovery 2024

春から始まった2024年のテーマは、“香りと共に季節を巡るNAGANO WINE”。日本の四季を彩る旬の草花やフルーツ、スパイス等をイメージさせる、それぞれの季節にぴったりなNAGANO WINEから、ソムリエ的場さんが厳選した3本を、季節ごとに提案しています。ほかにも、NAGANO WINEを楽しむイベントも企画中。期待大です。
https://www.karuizawa-marriott.com/

軽井沢マリオットホテル
住所|長野県北佐久郡軽井沢町長倉4339
アクセス|JR長野新幹線軽井沢駅から無料送迎バスで約15分

結論(復唱)

ワインを最もおいしくいただく至高のテーブルセットとは、その土地に自ら出向き、テロワールを感じつつ、その液体を味わうこと。そして、現地のプロフェッショナルたちの話に耳を傾けること。これに尽きます。

問い合わせ先

軽井沢マリオットホテル
Tel.0267-46-6611
https://www.karuizawa-marriott.com/

出典:Web Magazine OPENERS

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