TRAVEL|ホテルインディゴ軽井沢
豊かな土壌で育つ厳選された長野ワインと共に楽しむ一夜だけのスペシャルメニュー
東京から新幹線でわずか1時間。雄大な自然に囲まれ、東洋と西洋の文化と芸術が根付き、一年通して国内外から多くの人が訪れる日本有数の別荘地 軽井沢。穏やかでありながらパワフルでクリエイティブなエネルギーに満ちあふれたこの地で、2022年2月にオープンしたホテルインディゴ軽井沢。ホテルインディゴのコンセプトは「ネイバーフッドストーリー」。その土地にある今まで知られてこなかった本物の魅力とそのストーリーに触れるローカル体験を大切にしている。
ホテルインディゴ軽井沢で開催された、厳選された長野ワインとワインにあわせた薪グリル料理を堪能する一夜限りのスペシャルディナー「ワインメーカーズディナー」。ワインを目的に長野県に足を運んでもらいたいという想いから企画され、ワイナリーの生産者を交えてワインの魅力と奥深さなどを語り合う、サロン文化が根付いた軽井沢らしい試み。ソムリエの上野氏が自らワイナリーに足を運び、コラボレーションを打診し、実現した。今年2023年4回開催され、4回目となった「ヴィラデストワイナリー」とコラボレーションしたメーカーズディナーに参加した。
Text by IJICHI Yasutake
長野ワインとともに味わう極上のひととき
ヴィラデストワイナリーは、長野県の北東部に位置する東御(とうみ)市の標高850mの丘の上、千曲川ワインバレーと呼ばれる地域にある。東御市は、2008年に長野県で初めてワイン特区として認定されている。千曲川は南から北へ流れ、名の通り千の数ほど曲がりくねり、川沿いには水はけの良い豊かな土壌を育んできた。このエリアは日本有数の少雨地帯。日照時間が長く冷涼で、山に囲まれ寒暖差も大きいため、ワインぶどうの栽培には好条件な土地。欧州系品種の栽培に特に適していて、メルロー、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールなどが栽培されている。太陽、土、水、風、自然の恵みをしっかり受けながら畑で手をかけて育てられたブドウを丁寧に醸すと、酸味も色味も糖度もバランスが絶妙なクリーンで凝縮感のあるワインが生まれる。この地に魅了された人は多く、ワイナリーやブドウ園が近年続々誕生。今では70以上の生産者が集う一大産地になっていると言う。ヴィラデストワイナリーは2003年に醸造を始め、これまでに日本ワインコンクールの最高金賞をはじめ数々の栄誉に輝き、2008年の北海道洞爺湖サミットや2016年の伊勢志摩サミットで各国首脳に提供されるなど、今では日本が誇るプレミアムワインとして海外からも高く評価されている。
ヴィラデストワイナリーを始めたのは、エッセイストであり画家でもあるオーナーの玉村豊男氏と、現代表取締役社長で栽培醸造責任者の小西超(こにし とおる)氏。きっかけは1991年まで遡り、病気療養を機に東御市に移住した玉村氏が、その風景に魅せられて開墾を決意し、ブドウの樹を植えたのが始まり。玉村氏と共にTaKaRa酒生活文化研究所で同社のワイナリー建設計画に参画していた小西氏が栽培・醸造責任者となりスタートした。ワインメーカーズディナーには、小西氏が参加。ヴィラデストワイナリーで作られた数々のワインを楽しみながら、長野ワインの魅力、こだわり、想い、楽しみ方を教えてくれた。
この日提供されたのは、ヴィラデスト シードル、ピノ・グリ2022、ピノ・ノワール ロゼ2022、ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ2021、ヴィニュロンズリザーブ メルロー2020の5種。ラベルの絵柄は玉村氏が描いたもの。そして、この日のワインのためだけに考案された1日だけのスペシャルメニュー。料理を軸にワインをペアリングされることはあっても、ワインを軸に料理をペアリングされるというのはなかなか味わうことがない贅沢。
乾杯はヴィラデスト シードル。長野県で育った芳醇なりんごが香るキリっとしたシードルが食欲を内臓から喚起させてくれる。最初にいただくアミューズは カレー風味のクランブル。AMUSEはこのシードルと共に。しっかりとした味わいと食べ応えが特徴のアミューズをキリっとしたシードルで流し込み、少し腹を落ち着かせる。
次は、アンティパストミスト。冬の長野らしさが表現された濃厚な野菜やソースの旨みを最大限引き出してくれるのは、力強いピノ・グリとあわせても良いし、上品で繊細なピノ・ノワール ロゼでも良い。どちらも違った相性の良さが感じられて面白い。
パスタは、ムール貝やトマトを使ったリングイネ。ここで、サミットでも提供されたフラッグシップ ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ2021が登場。約7か月樽熟成させたブドウと樽の香りのボリューム感と程よい酸味が味わい深い。
メインは、蓼科牛のグリル。肉の素材の良さと絶妙な火入れ加減もさることながら、添えられたゴボウやルッコラがまた濃厚。あわせるのは、ヴィニュロンズリザーブ メルロー2020。本来は5年くらい寝かせたいと小西氏は言うが、メルローを“醸し発酵”(果皮や種子を果汁に漬け込んだ状態で発酵させる)させた後、オーク製の木樽で熟成させたそれは深みと厚みがしっかり出ている。軽やかでありながらしっとりしたリブロースの旨味と口の中で絡みあってくれる。
やはり、生産者の話を直接聞いて、その背景や裏側、作り手の想いを知り、その土地で育った豊かな食材を使った料理とあわせていただくワインは格別。ネイバーフッド体験で得られる刺激から生まれるインスピレーションは人生を豊かにしてくれることだろう。最高のロケーションの軽井沢で、長野県の土地を丸ごといただくことができるホテルインディゴ軽井沢のワインメーカーズディナーは、2024年も開催されるそう。期待したい。
2024年ワインメーカーズディナー 予定
3月8日(金)
マンズワイン 小諸ワイナリー
代表 島崎 大 様
6月14日(金)
ヴァンヴィ(下伊那郡松川町)
醸造責任者 竹村 剛 様
7月5日(金)
サンサンワイナリー(塩尻市)
醸造責任者 田村 彰吾 様
11月22日(金)
シャトーメルシャン 椀子ワイナリー
醸造責任者 田村 隆幸 様
ホテルインディゴ軽井沢
住所|長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉字屋敷添18番地39
問い合わせ先
ホテルインディゴ軽井沢
Tel.0267-42-1100
https://karuizawa.hotelindigo.com/
出典:Web Magazine OPENERS