ALDEN|オールデン
ALDEN愛用者に聞く「オールデンの魅力」
「オールデン愛」が深い人は、じつは思いのほか多い。圧倒的な履き心地と、どんなスタイルにも合うタイムレスなルックスは「一度、履いたらやめられない」。そして「合わせやすさから、ついヘヴィユースになる」そうだ。しかもオールデンに魅了されているのは男性ばかりではない。連載第4回目は、オールデンをこよなく愛するこのふたりに話を聞いた。
Photographs by OHTAKI Kaku|Text by KOIZUMI Yoko|Edit by TSUCHIDA Takashi
長く付き合える実力と魅力を知ってもらいたい
ひとり目はテーブルビート代表取締役、佐藤俊博氏である。佐藤氏は1970~’90年代にディスコ「ツバキハウス」、クラブ「GOLD」をプロデュースし、現在は東京駅に程近い新丸ビル内で蒸し料理レストラン「MUS MUS」や、スナックバー「来夢来人(ライムライト)」「獺祭Bar」を経営する。いまなおナイトシーンを創造し続けている人物である。
「バブルの頃はヨーロッパ系、とくにイタリアのブランドが人気でした。私を含めて、そういうスタイルが主流でしたけれど、そんななかでもオールデンはお洒落な人の定番アイテムだったという記憶がありますね。私はファッション関係の人に教えてもらい、20年くらい前だったと思いますが、一足目を手に入れました」
以来、仕事に、プライベートにと、オールデンは出番を増やし、いまでは8~9足がワードローブに加わった。
テーブルビート代表取締役 佐藤俊博氏。かつて東京の夜を席巻したツバキハウスやGOLDをプロデュース。現在は丸の内ハウスで蒸し料理レストラン「MUS MUS(ムスムス)」のほか、スナックバー「来夢来人(ライムライト)」「獺祭Bar」を経営する。
「飲食店をやっている関係で、食材チェックのために山や畑に出向くことも多いのですが、そんな時はラバーソールを選びます。あぜ道も気になりませんし、雨の日も気兼ねなく履けますしね。実感としてオールデンは乱暴に履いても大丈夫なんです。それは “働く人のため”という思想が根本にあるからで、履き続けていると実感できる。必然的に、出張時のオールデン比率は上がります」
ヘヴィユースゆえに、佐藤氏は定期メンテナンスを欠かさない。
「専門店に磨きに出すこともあるし、路上で靴磨きの人を見かけたらお願いすることもあります。先日はラコタハウスでリペアをお願いしたけど、仕上がりもきれいで満足しています。私にとって革靴とはメンテナンスをしながら履き続けるモノであり、自分の分身にしていくモノ。ですから、メンテナンスできない靴は、靴ではないんです」
56251/つま先をカバーしたドレススタイルを、パーフォレーションのアクセントによってカジュアルに見せているキャップトウ。革はホーウィン社のシェルコードバン。履き心地に優れたモディファイドラストを採用している。
そういう身に着けるモノへの意識は、先輩から教えてもらったという。
「僕が20代の頃、先輩方から『男は靴やシャツ、スーツ、時計は借金してもいいモノを身に着けろ。そして手入れしながら20~30年使い続けなさい』と言われたものです。この年齢になると、それらのアイテムとともに人格が形成されていくのだと分かります。30年前につくったスーツはいまだクローゼットにあるし、いい生地が身体に馴染む気持ち良さは格別です。だから若い時に買った靴を50~60歳になったときにも履いていられるような人生を送ってほしいと思いますね」
ファストファッションの時代でも、自分の人生と寄り添うモノとの長い付き合いから得られる楽しみや悦びを忘れないでほしい、そんなアイテムとして、オールデンは最適だと勧める。
「10万円ちょっとしますけど、20~30年履けますから、コストパフォーマンスとしては非常にいい。またオールデンはデザインもシンプルですし、どんなスタイルにも合う包容力がありますからね。先日はストリート系の子がTシャツにオールデンを履いていて、いいなぁと思いましたね。そんな彼らが大人になって少しドレスアップしたいと思ったときにも、オールデンならストリートの香りを残してくれるでしょう。一足のオールデンから学べることがあると思いますよ」
丸の内ハウス 統括マネージャー 玉田泉氏。三菱地所勤務時に、新丸ビル内の飲食ゾーン「丸の内ハウス」の立ち上げを担当。独立して以降も、統括マネージャーを務めるほか、各地域のブランディングや商品開発、メニュー開発を手掛けている。
女性的なスタイルに合うジェンダーレスなデザイン
「2013年、丸の内ハウスで開催していたイベント『Peaceful Journey』で、オールデンをテーマにしたトークショーがありました。そこではビームス、ワイルドライフテーラー、ユナイテッドアローズのバイヤーたちが、それぞれ熱心にオールデンを語っていて、それをきっかけにオールデンを深く知ることができました」
そう話すのは丸の内ハウス統括マネージャー玉田 泉氏だ。丸の内ハウスとは新丸ビル7階にあるダイニングやバーが集う飲食店ゾーンのこと。同フロアにはイベントスペースも用意されており、『Peaceful Journey』では東京のファッションシーンが集結。音楽やトークを通し、丸の内からファッショントレンドを発信している。
それまで高いヒールのドレッシーな靴が多かった玉田氏にとって、オールデンは男性のブランドであり、自分の適合サイズが23.5㎝であることからも、まさか履けるモデルがあるとは思っていなかったそうだ。そんななかで3年前、人気のタンカーブーツを手に入れることができた。
45491H/ミリタリーデザインとドレスシューズが融合した人気モデルのタンカーブーツ。トラッドからモードまでも守備範囲とするオールデンらしさが現れた一足。
「足を入れてみると、踵はピシッと入っているのに、つま先に余裕がある。実際に履いてみると、程よい重量感から振り子効果で颯爽と歩けるし、長時間歩いても疲れない。履くだけで背筋が伸びる感じもします。見た目は硬そうなのに履くとラク――いままでに味わったことがない感覚でしたね」
オールデンを手に入れた玉田氏は、革靴LOVERSからさまざまなアドバイスをもらうのだという。そこで、お洒落な方々にとても信頼を得ている靴磨き職人である千葉 尊さんに1週間預けた。理由は革と油を馴染ませ、手入れをしやすくし、また長持ちさせるためだ。
「『女性がオールデンを持ってきた』って驚かれました(笑)。そして『もっと履いた方がいい』とも言われました。いいモノってつい大事に取っておきたくなりますけど、それはオールデンとの付き合い方ではないんですね」
良い革は、履くほどにその実力を発揮する。そしてメンテナンスをすれば長持ちするし、10年後も確実に履けるのだ。オールデンとの出合いから「いいモノを大事にすることはサステナブル」と玉田氏は感じているそうだ。いずれは娘に譲るという未来も想像するが、いまは自身のコーディネイトを存分に楽しんでいる。
「今回はニットのアンサンブルと合わせていますが、ジェンダーレスなルックスだからこそロングスカートからワンピース、ジャケットスタイルにもすっと馴染んでくれる。でもそれはモノ自体がいいからこそ合うのだろうと思っています。履いていると安心だし間違いがない。そういう気分にさせてくれることがオールデンの底力かもしれませんね」
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ラコタ
Tel.03-3545-3322
https://www.lakotahouse.com/
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出典:Web Magazine OPENERS